案山子（かかし）それは田畑を荒らすスズメやカラスを脅して追い払うために作られた人形、仕掛けである

民俗学者の柳田國男によると、我々の先祖には案山子の存在を単なる動物の生態や自然の法則以外に深く信頼し得るもの、つまり信仰があり「信仰の合理化、または呪法が技芸となっていく過程」と分析していた

そして、人形としての案山子がどことなく愛嬌があるのは、その佇まいが神の依り代（よりしろ）とし、神様を田畑に呼びこみ、豊作を祈り、嵐から護る願いを込めて祀られたからである

感染症も少しずつ収まりをみせ、日本橋では人々が行き交い始めた。海外からの訪問客、古くからの商人、スイーツを求めるカップル。そこにある多面性という豊かさを「畑」のようだと捉え直したとき、その豊かさを見護る存在を作りたくなった

植物や廃材などで構成されたこの案山子は、日々変動するこの街を表現している。そして、この街の守護を祈願し制作したこの案山子も、我々が会得した技芸の過程である

NAZE アレキサンダージュリアン

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NAZE / Artist

1989年生まれ。触覚的な筆致で描かれるドローイング、スプレーやコラージュを用いたペインティングや壁画、廃棄物を使ったオブジェなど、様々な表現を往復しながら作品を創り続けている。contact Gonzoとしても活動中。


アレキサンダージュリアン 闇花屋 / FLOWER PUSHER

いけばな草月流師範。九州生まれシカゴ育ち。鹿児島県立樹木女学院を首席で卒業。好きな飲み物はファイブミニ。
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